「小さき花の音楽会 vol.1」の開催にあわせて、守也がYOUTUBEにアップしたメッセージです。
 

ピアニスト・斎藤守也です。
僕は病院や障がい者施設を訪問し、音楽を届けるという活動をライフワークとして行っていますが、そんな中で「いつかバリアフリーコンサートをやりたい」という思いがずっとありました。
音楽を届ける立場のピアニストとして、コンサートを行うものとして「バリアフリーコンサート」を開催し、誰もが音楽を楽しめる環境を提供しないといけないとずっと考えていましたので、今回それが実現できて、とても嬉しく思っています。
 
タイトルに「 バリアフリーコンサート」とあえて目立つようにしていますが、その理由は障がいのある方の目にとまってほしかった、「バリアフリーなら行ける」という方々の目にとまってほしかったからです。
他にも「みんなで楽しむコンサート」や、ちょっと難しい「共生」という言葉を入れるなど色々と考えましたが、やはり「バリアフリー」という言葉が、みなさんに一番馴染みがあるのではないかと思い、今回は「小さき花の音楽会 バリアフリー・ピアノコンサート」としました。
 
ひとことに”バリアフリー”といっても、さまざまな捉え方や解釈があるかと思いましたので、僕が行う今回の「バリアフリーコンサート」に関して少しお話します。
「バリアフリー=物理的に段差がない、障がいがない」というのはもちろんですが、「心のバリアフリー」という言葉があるように、物理的な障がいとは別の「目に見えないバリア」によって障がいのある方が「生きづらさ」を感じてしまう、ということがあると思っています。
 
確かに心身の違いを持つ方々が、そうでない人たちに混じってコンサートを聴くことは、難しく簡単なことでないと思っています。
それもあって、僕は病院や施設に行き、音楽を届けるという活動をしているのですが、そういった施設や病院の子どもたちの反応は、普段、僕が行っているコンサートのお客さんと変わりがないんです。
他にも老人ホームや幼稚園、あとは小中高学校や海外、どこでもあっても、僕は普段のコンサートと同じように演奏しますが、音楽を楽しむ時の反応は、みなさん一緒なんです。
音楽を楽しむ時には「心のバリア」がないんだな、ということを僕は強く感じます。
 
ですので、今回は「障がいのある方々を一方的に助ける」という意味合いのコンサートでもなく、「障がい児者のためだけ」でもなく、あくまでも普通のコンサートで誰もが参加できる
「心のバリアフリー」という意味も含めた「バリアフリー・コンサート」にしたいと思っています。
 
当日、少しおしゃれをして、ちょっとドキドキしながらコンサート会場に足を運んでいただき、一人一人に用意された席に着き、会場の雰囲気と音楽を楽しむ。
そして、一緒にきたおともだち、親御さんや支援員さんとコンサートの余韻にひたりながらおうちに帰る。そんな経験を、僕のコンサートに来てくださる全ての方にしてもらいたい、という思いがあります。
障がいがある、ないにかかわらず、たまたま居合わせた方と少しだけ助け合ったり、少しだけ譲り合ったりして、みんなが楽しめるコンサートになったら素敵だなと思っています。
 
ある知り合いの、障がいを持つ子どもの親御さんに、今回のコンサートのことをお話してお誘いしたたら「一生コンサートになんか行けないと思ってた」と言って喜んでくれました。
それくらい、障がいのあるお子さんやその御家族には「コンサートは無縁なもの」になってしまっていることが悲しいです。
そういった方々が、コンサートに行くのが当たり前になるくらいに、この「小さき花の音楽会」続けていきたいと思っています。
 
音楽を楽しむ心に障がいは関係ありません。
一人でも多くの方と楽しい時間を過ごしたいと思っていますので、たくさんの方々、様々な方々のご来場をお待ちしています。